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有孔鋼板・有孔折板の本来の目的は、ビル・設備の点検歩廊や工場・倉庫の目隠しなど。一方で、これらの実用目的のほかに、建造物の外観や内観をオシャレに見せるための壁面として使われることもあります。ここでは、壁面としての有孔鋼板・有孔折板の施工事例をたくさんピックアップしてみました。
店舗全体を覆うように設置された有孔鋼板。孔のすき間から覗く外壁や照明が謎めいた奥行きを演出し、道行く人たちの興味をそそります。
入口付近にある3本の有孔鋼板が、左から順に黄、青、赤。これらのカラーポイントがあればこそ、他の無機質な有孔鋼板の全体像もオシャレなデザイン演出へと変化します
悪目立ちをすることなく、しかしながらしっかりと人の目を引くことができるため、歯科医院などのクリニックにもおすすめの外観でしょう。
商業ビルの壁面を覆うかのように、大胆かつ大掛かりに有孔鋼板・有孔折板を設置することがあります。
目的は様々ありますが、主要な目的は化粧パネルの代わりとして。有孔鋼板・有孔折板で覆うことで「カッコよく見せる」ということが、その主な目的のようです。
ほかにも、外階段や各種設備の目隠し、庇など、商業ビルならではの様々な場所に使用されます。むき出しのままとは異なり、スタイリッシュで現代的な雰囲気に仕上がります。
商業ビルのほかにも、たとえば駅舎の建築内装材として有孔鋼板・有孔折板が用いられることがあります。代表的な事例が、小田急線の小田原駅。駅のコンコースの両サイドに、床から天井まで大胆に有孔折板が設置されています。
自然の光が駅舎一杯に注ぎ、かつ、時刻の変化や季節の変化に応じて駅内の雰囲気も変わっていきます。光や風が優しく透過します。
高速道路などの橋梁の下に、恒常的な足場として有孔鋼板・有孔折板が設置されている事例があります。たとえば首都高渋谷線の一部。一般道から上を見たとき、高速道路の橋梁の下に有孔鋼板・有孔折板で作られた空間を目にすることがあります。
この空間こそが、高速道路に常設されている足場です。足場の中では、通気性と採光性が確保された状態で近接目視点検や補修が可能。落下物の防止にも役立ちます。何より見た目がスタイリッシュなので、都会の高速道路にピッタリです。
有孔鋼板や有孔折板は、大学や専門学校などの建物でも好んで利用されています。実用目的ではなく、むしろ外観の印象を良くすることが目的で利用されることが多いようです。
シンプルながらも統一性のあるスマートな印象は、まさに若い人たちが集うキャンパスによくマッチしています。校舎としてだけはなく、キャンパス内のカフェを兼ねた会話のスペースとしても雰囲気良くまとまることでしょう。有孔鋼板や有孔折板のすき間から多くの光が差し込むので、屋内には常に明るい雰囲気が広がっています。
有孔折板を外壁代わりにしました。幼稚園という場所らしく、カラフルで楽しい色合いで包み込んでいるところも特徴です。
この有孔折板で仕切られた内側には、園児たちの野外遊戯場所もあるそう。上から、そして壁の大小無数の孔から差す光の中で、元気に走り回る園児たちの姿が浮かびます。孔から外を覗きこめば、その小さくとも無限の頭脳に様々なイマジネーションが広がることでしょう。
某大学のキャンパス内にある歴史的建造物を、スチール有孔折板ルーバーを利用して現代風にアレンジ。芸術的景観をしっかりと継承しつつも、未来の教育機関・研究機関にふさわしい新たなデザインを加味した建造物です。
伝統ある大学のキャンパスを歩けば分かる通り、知性高き建造物には、古さと新しさが融合した芸術的なセンスが感じられるもの。有孔折板は、伝統ある芸術的建造物にもよくマッチします。
都内にある某・音楽大学の本館に採用されたデザイン。創立100周年の記念行事の一環として、本館の外観を大胆にもデザインチェンジしようという試みです。
天井部分から一階の途中部分まで、淡いアイボリー色の有孔折板をかぶせた外観。内部へと通る柔らかい風と光が、音楽大学の学生たちに多くのインスピレーションを与えそうです。周辺のマンション等との調和も考慮された色調とデザイン。
マンションの各階のバルコニー部分に有孔折板を設置した建築事例。「透けて見える」という特徴をマンション外観の演出に採用した、センスあふれる施工アイディアです。
恐らく、有孔折板を設置していなければ、辺りにあるごく普通の細長いマンション。有孔折板を設置しただけで、あたかもデザイナーズマンションのような高級な雰囲気の漂う外観に仕上がっています。見た目だけでマンションの資産価値が上がりそうです。
冬が近づけば、翌春まで雪に閉ざされる新潟県の某所。廃校となった学校や体育館を、ある劇団が研修施設にリニューアルしました。
リニューアルの施工に用いられたのが、有孔折板によるスクリーン。無数の小さな孔から館内全体に、新潟の空から降り注ぐ自然の光がやさしく差し込みます。時間とともに刻一刻と明るさが変化する館内で、未来の有名アクターたちが歌い、踊ります。
ご紹介している施設は駐輪場ですが、以前から駐輪場や駐車場には、壁などの代わりに有孔鋼板が用いられることが多くありました。
駐輪場に有孔鋼板が用いられる理由は、施工コストの削減、デザイン性の向上、風通しの維持など。外から中が透けて見えるので、スタッフや利用者が駐輪スペースがあるかどうかを簡単に確認することもできますね。
実用性とデザイン性が両立することから、今後もますます駐輪場における有孔鋼板の採用事例は増えていくことでしょう。
都内にある有名な競艇場。敷地内に、自転車で来場する人たちのための駐輪場を設けました。
駐輪場の外観を大胆に覆う有孔折板。規則的に屈曲させた壁面の表情から、スマートでスタイリッシュなデザイン性が感じられます。
江戸川の河口近くにある競艇場なので、干潮時の風向きによっては塩害が発生するそう。その対策として、塩害に強いマグネシウムを配合した鍍金鋼板を採用しています。
孔の大きさや配置などを自由に設定できることが、有孔折板の特徴の一つ。たとえばデザイン住宅を手掛ける建築家のイメージに合わせ、有孔折板の孔を自由に設定することも可能です。
ご紹介している施工事例は、住宅の背面壁にあるオレンジ色が孔から透けて見える独特の演出。孔の大きさや位置も様々です。建築家が描いた孔デザインを忠実に再現することで、世界でただ一つのデザイン住宅を実現しました。
住宅の屋内の床面や階段の踏み板部分に有孔鋼板を用いている事例です。
一見ミスマッチのように思えますが、自然素材である杉板の温かみと鋼板の無機質さが調和し洗練された印象に。
有孔鋼板でしか出せない質感と透け具合を取り入れるために、住宅の建材として用いられる事例も増えてきています。
有孔鋼板を狭小間口のバルコニーの床材として使用している事例です。
1階の床板は有孔鋼板のエンボスタイプ。2階は同長穴タイプと2種類の鋼板を用いています。
エンボスタイプを使っている1階部分は、反射させた光を家の奥まで導き室内を明るくするなど、計算された設計となっています。
ガレージと道路の境界部ゲートとして有孔鋼板を使用している事例です。
外側からは光が反射し内部の様子が見えにくく、内部は光を取り入れつつ外の様子を窺える用になっており、有孔鋼板の特性を上手く取り入れています。
デザイン面でも、モダンな外観の住宅と調和しています。
群馬県にある某・美術館。緩やかな曲線を描くアルミ厚板パンチングパネルが、まさに美術館らしい芸術性ある外観を演出しています。
近づいてよく見てみると、孔はすべて円形で、かつ孔それぞれが大きく鋼板部分が少なめ。外壁に増設しただけの演出物にも関わらず、どこか涼しげで爽快感のあるイメージに包まれています。
辺りが暗くなると、パネル裏にある照明が点灯。孔の一つ一つから覗く控えめな明かりが、幻想的に館を包みます。
5階建ての医療福祉施設に設置された有孔鋼板。地上から屋上までタテに伸びるこの有孔鋼板は、施設の外階段の目隠しとして設置されました。
設置された有孔鋼板の開口率は約40%。目隠しとして設置されながらも、通気性と採光性は十分です。日中であれば、特に足元が暗くなる心配もありません。雨や太陽光の影響による劣化を抑えて長持ちさせるべく、特殊な塗料を施しているそうです。
実用目的で設置した有孔鋼板ですが、結果としては全体のデザイン性の向上にも貢献しています。
デザイン性を重視して設計されたビルであっても、どうしてもそのデザインを邪魔してしまう設備が外階段。非常階段とも言いますね。カッコいいビルの横に実用的な外階段が覗くと、少しがっかりした気分にもなります。
ご紹介している画像は、実用性の象徴でもある外階段を、有孔鋼板ですっぽりと隠した事例。ビルのデザインを邪魔する外階段を、逆にビルのデザイン性アップに貢献させるという突飛な発想です。孔から自然光が差し込むので、夕方でも足元が暗くなりません。
有明アリーナにも有孔鋼板が使用されています。メインアリーナ・サブアリーナのメンテナンス用点検歩廊に、三進金属工業のハーディフロアGスタンダードが採用されました。
メインアリーナでは、柔らかで温かみのある黒色の粉体で表面を塗装した有孔鋼板を使用。フロア材の反射を防ぎ、競技の妨げにならないよう配慮されています。
サブアリーナの外部設備用点検歩廊には、高耐食性溶融亜鉛めっきを施した有孔鋼板を採用。腐食や錆が進行しやすい屋外でも、長期間の耐久できる仕様となっています。
以上、有孔鋼板・有孔折板の様々な施工事例をご紹介しました。
もともとは工事現場や工場、倉庫などにおける実用目的で用いられている有孔鋼板・有孔折板。ところが、ご紹介した数々の事例からも分かる通り、今や実用目的のみならず、デザイン目的で用いられることも多くなってきました。有孔鋼板・有孔折板に縁遠い人でも、きっとどこかで、デザインが目的の有孔鋼板・有孔折板を目にしたことがあるはずです。
リーズナブルな価格でデザイン性をアップさせることができる魅力的な有孔鋼板・有孔折板。安全性も約束された建材として、今後も用途はますます広がっていくことでしょう。