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鉄の性質

鉄は地球の重さの1/3を占めるとも言われるほど大量にある金属です。鉄鉱石から鉄を取り出すことも比較的簡単なので、わたしたちの生活に身近な材料とも言えます。

品質・コスト・納期のQCDをすべて満たして得る素材で、特に加工性の良さが金属製品の90%に鉄が使われる所以でしょう。

鉄の加工性

高温や常温での鍛造や引抜き、圧延などの加工ができ、焼き入れや焼き戻しなどの熱処理によってさらに広範囲に活用できるようになります。ステンレスなどの合金としても使われ、高い多様性もあります。

鉄(炭素鋼)の種類

鉄と炭素の合金で、炭素の含量が0.02〜2%までの素材を炭素鋼と言います。その中でも品種が細かく分類されているので紹介します。

 SPC材

0.4〜3.2㎜の薄板で、主に板金機械のプレス加工、曲げ加工に使用されます。冷蔵庫のボディ部分に使われるような薄い板材で、ほかにSPCC、SPCD、SPCEがあります。

 SS材

丸棒・角棒・鋼板・型鋼などさまざまな形状があり、安価で汎用性があるため最も普及している鉄鋼素材です。

JIS規格ではSS330、SS490、SS540があり、数字は引っ張り強さの最低保証値となっています。

S-C材

SS材に次いで普及しており、SとCの間に2桁の数字が入って表されます。数字は炭素量×100を示しており、S45Cと表記してあれば、炭素量が0.45%という意味です。炭素量が3%以上になると焼き入れ効果があります。

SK材

鋼の中では炭素量が最も多く、含有量は0.6〜1.5%です。硬度と耐摩耗性に優れており、焼き入れすると硬さは0.6%まで上がりますが、摩耗は炭素量に比例して強くなります。

SKの後の2桁の数字は炭素含有比率の100倍を表します。

鉄(合金鋼)の種類

鉄鋼素材の五大元素に、ほかの金属元素を添加したものを合金鋼と言います。鉄鋼より効果で形状も種類も少ないので、炭素鋼で要件を満たさない場合に使用されます。

ステンレス鋼

汚れ、サビが少ないという意味のステンレス。合金鋼の中でもよく使われ、SUS材とも呼ばれます。五大元素にニッケルとクロムを加えてできますが、その含有量によって3種類に分かれます。

合金工具鋼

工具素材には硬い素材が必要ですが、SK材で硬さや耐摩耗性が満たない場合に使われる素材です。

合金工具鋼にはSKS材、SKD材、SKT材があり、五大元素に加えてクロム、バナジウム、タングステンを添加して硬度や耐摩耗性、耐熱性をアップさせています。

機械構造用合金鋼

機械構造の部品で使われる鉄鋼素材には、炭素鋼と合金鋼があります。しかしより強度と靱性が要求される場合には合金鋼を使います。

合金鋼は素材の中心部まで焼きが入り、機械的性質に優れています。

超硬合金

クロム、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルといった素材に、鉄、コバルト、ニッケルで結合した合金鋼です。名前の通り、極めて硬い合金鋼で、スローアウェイの施盤用工具のチップなどに使われます。

ハイテン鋼

高張力鋼とも呼ばれ、引っ張りの強さが特徴的です。汎用的な炭素鋼SS400と比較すると、ハイテン鋼は2倍以上の引っ張り強度があります。薄くて丈夫なので、電車のボディやガスタンクなどに使われています。

鉄の選び方

鉄系材料の板材は、SS400、SPCC(冷間圧延鋼板)、SPHC(熱間圧軟鋼板)が用いられます。耐食性の処理を施した電気亜鉛メッキ鋼板のSECCもよく使われます。

鉄系材料の平鋼には、SS400、S45Cがよく使われています。

このように、鉄系材料は特殊なケースでない限り、SS400やS45Cを利用することが多いです。材料の規格形状も豊富にあるため、規格の種類やサイズがあらかじめわかっていれば、スムーズに設計ができるでしょう。