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圧延鋼板の一つとして知られる「SPCC」について、特徴や性質、他の鋼材との違いをご紹介します。
SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は、冷間圧延鋼板の一種として知られる材料です。SPHCという材料を冷間圧延してつくられており、板金に多く使用されています。
ポピュラーな鉄素材の一つとして知られており、主にパンチや曲げ加工を施す製品に用いられます。鋼材の中でも柔らかさを持つ素材であり、成形性・加工性に優れているのが特徴。特に3.2㎜以下の板金加工をする場合に適しています。
冷間圧延で製作されていることから、未研磨状態であっても素材の表面に光沢を持っており、滑らかさがある点でも知られています。このことから「ミガキ材」と呼ばれることもあります。
SPCCは0.5㎜から3.2㎜までの板厚で流通されていることがほとんどです。中でも1.6㎜や2.0㎜の板厚が安定して流通しており、それ以外の板厚だと一時的に市場から見られなくなるリスクが懸念されます。
あまりに薄すぎる・厚すぎる板厚だと、遠方から材料を取り寄せるためにコストがかさんでしまう可能性も考えられます。
初期のSPCCには油がついており、この油がなくなると錆びてしまうという性質を持ちます。そのためSPCCは加工後に塗装やメッキ処理の後工程を施すなど、錆対策を講じる必要があります。
また、他の素材と比べると加工性が高いという性質上、自動車などの様々な機械部品や、ワッシャー、スペーサーなどにも使用されることがあります。
SPCCは炭素量が少ないという性質も持っており、炭素鋼の中でも最も柔らかいとされています。
SPCCは熱間圧延鋼板よりも高い伸びを持っているため、高い加工性と成形性を持つ点がメリットです。表面仕上げの美しさも優れており、コストを抑えながら高品質かつ高精度な仕上がりに向いています。
ただし酸化被膜を落とした鋼材であるため、非常に酸化しやすく錆が発生しやすいのがデメリット。手で触れただけでも酸化することがあり、加工後の塗装やメッキが欠かせません。
SPCCと他の冷間圧延鋼板であるSPCDやSPCEでは、伸び率や板厚に違いがあります。SPCDは伸び率が優れており、SPCEは深絞りが可能なように薄板になっています。
製造方法によって価格も異なり、熱間圧延鋼板を冷間圧延するという手間を加えているため、SPCCの方がSPHCよりも加工性が高い分価格も高めに設定されています。