公開日: |更新日:
工場や倉庫内の点検回廊やキャットウォークで使う床材についてまとめました。使用頻度の高いエキスパンドメタルと、有孔鋼板について比較しています。
目次を見る
エキスパンドメタルは金属の板に切れ目を入れて引き延ばし、菱形や亀甲型のメッシュとして仕上げた鋼板材料です。一枚の金属板より軽量性に優れ、重量が分散するため歩行に耐える剛性を持った製品もあります。
メッシュ状の凹凸が滑り止めになるため、点検回廊やキャットウォークで使われることも多いです。ただし網目のピッチによっては、ペンやボルトといった細かい物がすり抜けることもあるため注意が必要です。また開口部は金属の鋭い切り口になっているため、転倒などで手をついてしまうとケガをする恐れもあります。
穴の開いたパンチングメタルをC型に曲げ加工してつくる有孔鋼板も、工場や倉庫内の点検回廊やキャットウォークでよく使われる材料です。
高い剛性を持ち、材料同士を横接続することでたわみの少ない床面を構成できるのが特徴。梁間ピッチを広く取れるため、長い通路のコストを抑えやすい点もメリットです。
専用金具で梁固定できる製品は、さらに施工コストも軽減できます。エキスパンドメタルのように溶接の必要がないため、火花に対する養生手間がないのもスピード施工につながるポイント。
回廊やキャットウォークで使うことが多いエキスパンドメタルと有孔鋼板について、いくつかのポイントを比較してみましょう。
エキスパンドメタルは切り口を直接つなぐことができないため、広い床面では接続金物の凹凸が露出します。
有孔鋼板は突き合わせでフラットなつなぎ目に仕上げることができます。金物が露出しないため、見た目がスッキリ納まり転倒リスクも軽減しやすいです。
エキスパンドメタルは梁の上に大引きや根太といった下地を組み、その上に敷いて溶接していきます。製品自体に耐荷重はありますがたわみやすいため、細かいピッチでの下地が必要になります。
有孔鋼板は製品自体の合成が高く、梁の上に直接敷き込めるものが多いです。梁への固定は専用金物で溶接の必要がなく、下地を組む手間もないため施工がスピーディー。
エキスパンドメタルは40%から90%と開口率が大きいため、下のフロアへの透過性に優れる製品が多いです。ただし目が粗いものだと、落下物の可能性も大きくなります。
有孔鋼板は40%前後の開口率が多く、ほどよく光を透過するのが特徴。横長の細スリットタイプは落下物のリスクが少ないです。
通路としての本分である歩行性能については、特に重視したいポイントです。工場や倉庫では重機やすれ違う同僚などに気を配る必要があるため、床面の歩きやすさは安全性に直結します。なるべく金具などの突起がなく、滑りにくい床材を選びましょう。
屋上の点検回廊や工場のキャットウォークでは、階下への落下物は重大な事故につながる恐れがあります。細かい工具一つでも、製造ラインに混入してしまうと機械の故障や不良品といったトラブルに。食品工場では、混入事故による製品回収のリスクもあります。万が一人にぶつかると、ケガや命に関わる可能性もゼロではありません。
高い場所を通る通路の床面に有孔材を使う場合、落下物の心配がないかどうかチェックしましょう。穴のサイズや目の細かさを見て、落下物による事故を防ぎましょう。
高い場所に設置するキャットウォークや点検回廊は、階下の明るさにも配慮しなければいけません。縞鋼板など穴のない床材でふさぐと、床下空間はかなり暗くなってしまいます。照明をつければ明るさは確保できますが、閉塞感が出るため階下に作業スペースがあるならなるべく採光を確保したいところ。
有孔床材は穴のサイズやメッシュの大小によって開口率が異なるため、回廊の広さや階下の状況に合わせて選びましょう。
工場や倉庫内の点検回廊やキャットウォークは、床面とセットで手すりや安全策のことも考えなければいけません。
エキスパンドメタルは基本的に単品で開発されているため、手すりのメーカーオプションはありません。設計の際は、汎用の鋼材や手すり部材を組み合わせて積算する必要があります。
現場ごとの自由度がある点はメリットですが、毎回1から材料を拾い出すのは少し手間がかかるポイント。現場の仕上がりも職人の技術に頼るところが大きく、ばらつきが出やすい点も要注意です。
現場加工もなく、搬入された部材を説明通りに組み立てるだけなので施工もスピーディー。施工間違いや仕上がりのズレ、溶接不良による事故の心配もない有孔鋼板を作成しているメーカーがあります。
以下からチェックしてみてください。