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エキスパンドメタルと有孔鋼板の違い、さらにグレーチングとの違いをまとめました。実際に良く使われる用途や特徴をつかみ、それぞれ適切な場所に使えるようにしておきましょう。メリットも交えながらそれぞれの使用シーンを解説します。
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エキスパンドメタルは、鋼板に切れ目を入れたあと引き延ばしてつくる材料です。網目のような見た目でつなぎ目がなく、強度に優れている点が特徴。一枚の板を引き延ばしてつくるため金属板より軽量で、搬入や加工が容易で施工性に優れている点もメリットです。
鋼板のほかステンレスやアルミ、銅やチタンといった金属でも製造可能で、さまざまな用途に用いられています。表面の凹凸が滑り止め効果をもたらすため、床面に使われることも。
エキスパンドメタルは穴の形状によっていくつかの種類に分けられます。
まず穴の方向については、長手方向とひし形の長さが同じものをソロバン目、90度ずれているものはタタミ目という名称です。穴の形は一般的な菱形のほか、6角形の亀甲型と呼ばれるものもあります。
切断面にも種類があるため、選ぶ際に注意が必要です。網目の頂点で切断する「ボンド切断」のほか、ランダムな位置で切断する「乱切断」があります。端部が露出する場合は、使い分けが必要です。
軽量で耐荷重に優れるエキスパンドメタルは、床面に使用されることも多いです。
凹凸が滑り止め効果を持つため、人が歩く頻度が高い場所の転倒防止が期待できます。床下に光を透過するため、工場や倉庫のキャットウォークや点検床にも使いやすいです。
脱着が必要になる側溝の蓋としても良く活用されます。軽量なため蓋を外して点検しやすく、人が歩く場所でも問題ありません。比較的目が細かいため、工具やゴミなどが側溝に侵入しにくいのもメリットです。
単純な鋼板材より採光性や意匠性に優れるエキスパンドメタルは、屋内外の壁面や天井としても活用されています。
程よく光を通すため、ビルや階段などの目隠しとして使っても内側が暗くなりすぎません。格子のデザインを選べば、モダンデザインになじむのも目隠しとして使いやすい特徴です。
商業施設やオフィスでは、空調設備や配管を緩やかに隠す天井材としても使われます。軽量で施工性に優れていて、点検時の脱着も容易なためです。
凹凸が立体的な表情を生むエキスパンドメタルは、屋内でインテリアの一部として使われることもあります。
格子のサイズや形状によってさまざまなデザインがあり、カラー付きの製品はおしゃれな内装にもピッタリ。風と光を通すため、間仕切りや室内目隠しとしても優秀な建材です。
一枚が軽量なため、下地や建物への負担が少ない点も室内使用に向いています。切断・曲げといった加工にも対応しているので、細かい納まりやデザインの要求に応えられるのもメリット。
床面に用いる鋼板材料としては、エキスパンドメタルとグレーチングが比較の対象としてよく挙げられます。
グレーチングは平型鋼を組み合わせてつくる格子状の床材で、エキスパンドメタルより強度に優れた製品が多いです。ただし厚みがあるため、同じ面積当たりの重量はグレーチングの方が重くなります。
両製品とも透過性を持つ床材ですが、歩行場所で軽量性を重視するならエキスパンドメタル、車が通るなど強度を重視するならグレーチングという使い分けが多いです。
軽量で施工性に優れるエキスパンドメタルですが、床面使用する場合接合部の凹凸が発生します。より意匠性や安全性を求める足場には、フルフラット仕上げ面を得られる有孔鋼板も検討してみてください。
有孔鋼板の材質は、高耐食溶融メッキ鋼板を使っています。亜鉛を主成分に、アルミニウム、マグネシウムからなる合金メッキを施すことで、優れた耐食性を持つメッキ鋼板に仕上がっています。
専用の金具で止めるだけで固定ができ、下地材が少なく住むというメリットも。結合部もフラットになるため、設計の自由度が求められる現場にも向いています。