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建設資材における鋼材の違い

建設資材で活用される鋼材

鋼材は強度に優れた建築資材で、建物の安定した品質を保つためポピュラーな材料として採用されています。建設資材として具体的に使用されているのは、以下のような鋼材です。

炭素鋼

炭素鋼とは、一般に炭素含有量が0.035~1.7%の鉄と炭素の合金のことをいいます。微量の各種元素(マンガン・ネッケル・クロム・シリコンなど)を添加・含有させており、鋼材の溶接性を向上させられるものや、高強度が得られるものなどがあります。

鋼材の材質は、JIS規格で種別・化学的成分および機械的性質によって規定されています。一般構造用圧延鋼材(SS材)や溶接構造圧延鋼材(SM材)、建築構造用圧延鋼材(SN材)などに分類されており、鉄骨造建物の高層化および大スパン化などに伴って、より高度な品質が求められることもあります。

建築構造用圧延鋼材(SN材)

SN材は建築構造専用の鋼材として開発された鋼材です。鉄骨造建物の耐震性を確保するためには、変形能力向上が重要であるという考えのもと、降伏後の伸び能力を確保している資材として知られています。

また、柱梁接合部も大きな特徴の一つ。板厚方向の引張耐力を高めたほか、さらなる溶接性能の改善を果たした点でもよく知られている鋼材です。

TMCP鋼

厚板の鋼材やその溶接性の向上を目的として開発された資材です。圧延の過程で鋼材の冷却と圧延を適切に制御することにより、強度の向上に成功しました。

合金成分含有量を低くすることが可能なため、溶接性の面でも改善されていると言えるでしょう。降伏比はSN材と同様に80%以下と規定されているのが特徴です。

高張力鋼

建築の高層化や大規模化に伴う厚肉・高強度鋼材への要請に対して開発された鋼材です。高張力鋼材として引張の強さが実用化されており、高強度でありながらも降伏比は80%以下の低さを兼ね備えています。大地震といった衝撃にも、優れた塑性変形性能が得られるとされています。

高靭性を考慮し、シャルピー九州エネルギーを高く規定している点も特徴。現在は1000N/mm2級鋼材の開発と実用化に向けての研究が開始されています。

低降伏点鋼(極軟鋼)

従来の炭素鋼よりも降伏点が低い、225N/mm2級鋼材を「低降伏点鋼」と呼んでいます。このうち100N/mm2級鋼材を「極軟鋼」と区別。塑性変形能力に富んでいる低降伏点鋼は、降伏後のエネルギー吸収能力に優れている特徴があるため、制震構造用鋼材として使用される場面も多くあります。

従来の軟鋼に比べても強度が低く、延性が極めて高い鋼材として知られていることから、柱や梁などの腫瘍構造部の損傷を防ぐのに役立てられています。

耐火鋼(FR鋼)

一般の鋼材と比較して、高温時の強度が高いとされる鋼材を「耐火鋼」と呼んでいます。耐熱性を向上させる働きのあるモリブデンその他の合金元素を添加することで、600度における耐力は常温企画耐力の2/3以上であると保証されています。

この特性を利用した耐火設計では、耐火被覆の低減や省略が可能とされています。無耐火被覆とすることにより、柱の径を補足したり、自由な塗装をしたりといった鉄骨建築の意匠性向上に繋げられます。

ステンレス鋼

12%以上のクロムを含んだ合金網のことを「ステンレス鋼」と呼びます。塩酸や硫酸、あるいは硝酸といった腐食性の高い酸が存在する環境下でも、優れた耐食性を示す鋼材とされています。降伏比が60%以下であるため、靭性に富んだ構造材料としても認知されている鋼材です。

構造体の美しさを強調できる特徴があるため、モニュメンタルな建築物などにも多く使用されています。