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倉庫や工場で使われることが多い床用鋼板の種類とそれぞれの特徴を解説します。用途別の床材の選び方も紹介しています。
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フォークリフトや重機が移動することも多い倉庫や工場内の床面は、法律で3900N/㎡以上の床荷重強度を持たせるよう定められています。わかりやすく変換すると1平方メートルあたり400kgの耐荷重が必要ということですね。
これは最低限の数字であり、人が歩く場所、荷物を置く場所など用途によって適切な床荷重を確保しなければいけません。
穴の開いた鋼板をC型に折り曲げた有孔鋼板は、軽量で剛性が高く、荷重がかかる工場や倉庫の床でも使いやすい材料です。丸穴タイプのほか、開口面積の大きい横スリットタイプもあり、階下の明るさを確保したい場所にも使えます。
意匠性が高い製品が多いため、工場見学など人の目に触れる場所に適しているのも特徴。同じ材料を壁面施工するともできるので、床と壁でデザインを統一することも可能です。目隠し間仕切りや設備保護フェンスなど、床材以外にも工場・倉庫内で活躍する場は多いといえるでしょう。
滑り止め加工を施したタイプもあり、排水性も高いため水を扱う工場や倉庫内の洗浄床にも向いています。外部に使う場合も雨水排水を作る必要がないため、倉庫のバルコニー床や外階段にも採用しやすいです。
梁ピッチを広く取ることができ、施工性に優れているのも有孔鋼板のメリット。金具設置で溶接不要のため、火気厳禁で縞鋼板など使えない工場にも設置できます。
鋼板に滑り止め用の突起をつけた縞鋼板は、倉庫や工場の床板として見かけることが多い建材です。滑り止めの模様が縞に見えることが名前の由来で、チェッカープレートや縞板(しまいた)と呼ばれることもあります。
縞状の滑り止めは45度方向で交互に並んでいるため、どの方向に歩いても滑りを軽減するのが特徴。平らな鋼板より水はけも良くなるのもメリットの一つです。
カットや切り欠き加工に加え、曲げ加工に対応できるのも縞鋼板の特徴。スロープと床面のつなぎなど、90度以外の角度でも切れ目なく床をつなげることができます。
安価で強度もあるため、導入コストを抑えやすい点もメリットといえるでしょう。床面以外に階段の踏板、排水溝の蓋など加工次第で多目的に使えるのも特徴です。ただし穴あり製品はないため、透過性や排水性が求められる現場には向きません。
有孔鋼板と似た床材ですが、隣同士をはめ込み接続するため耐荷重に優れた製品が多いのが特徴です。車やフォークリフトが通行するなど、より床荷重が求められる場所に向いています。
縞鋼板と同じ滑り止め効果が狙える縞模様、開口率の大きい横スリット、丸穴パンチングなどデザインバリエーションも豊富。有孔鋼板では床荷重性能が足りないときに活躍する材料です。
工場や倉庫の中でも、設置場所によって必要となる性能は異なります。
コンベヤや製造機械などの重機を設置するフロア床は、耐荷重と設計の自由度に注目しましょう。
重機の規模によっては法令で定められている床荷重より、さらに高い耐荷重性能を求められる場合があります。設計時はフロアに設置する機械の大きさと重さを拾い出し、どれくらいの床荷重強度が必要なのか算出しましょう。
床のつなぎ目などに金具が露出すると、機械の設置を妨げてしまう場合があります。重機を据え付ける脚部構造を確認し、床材の仕上がりが問題無いかチェックしましょう。金具が露出しないフラット仕様だと、機械の設置を妨げないため安心です。
重機や空調設備などの点検歩廊に使う床材は、ノンスリップ性能や採光性・彩風性の確保が大切です。
高い場所にあるキャットウォークは、縞鋼板など光を通さない床材を選ぶと下のフロアが暗くなってしまいます。採光率の高い有孔鋼板など、明るさと解放感を確保できる床材が良いでしょう。
屋上など野外の点検歩廊は、雨に濡れても滑りにくい床材が向いています。耐食性を備え、サビや腐食に耐えうるかどうかという点も要チェックです。
点検回廊やキャットウォークについては、別のページでも詳しく解説しています。
油や加工時の粉塵などが出る工場内では、屋内の換気が必要な場所も多いです。板で丸ごと天井をふさいでしまうと、臭いや健康上のリスクといった問題が発生することもあります。
空気を通す有孔鋼材なら各フロアを同時に換気できるため、ダクトなどの設備が複雑化せずに済むのがメリット。
食品工場など製造機器の洗浄が必要な場所では、床面の排水性能が求められるケースもあります。大量の水を使うと、コンクリート床では排水性能が間に合わないためです。
有孔鋼板など開口率の高い床材なら、別途排水経路を設けずに済みます。
階下へ光を通さないと暗くなってしまう場所には、スリットや穴の開いた床材が適切です。強度を確保しつつ開口率の高い製品がある、有孔鋼板や有孔折板などを選びましょう。