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「鋼材」と一口に言っても、その中にはSS材やSN材、SM材などの種類があり、それぞれに異なった特徴があります。建築で使われるそれぞれの鋼材の違いを調査しました。
SS材は「steal(鋼)」と「structure(構造)」を組み合わせた言葉です。最も汎用的に使われる鋼材として知られていますが、建築では主要な部材として使われることはありません。
SS材はJIS規格鋼材の中でも不良品が少なく、不留まりが良いという特徴を持っているため、合理性・利便性を追求する建築現場や土木作業現場で使用されています。溶接や金属そのものを焼いて補強することには向いていませんが、引っ張りの強さや降伏度に重点を置いている鋼材としてそのまま使われます。
スチール缶製造や工場内で多く使用されているSS材。「SS400」や「SS330」のように強度を数値で表した複数の種類があり、炭素含有量の多い「SS490」や少しやわらかめの「SS330」など、硬さによってきめ細やかな種類が製造されています。
唯一の弱点は錆に弱いという点。外での使用が前提とされている場合には、ステンレス鋼やSKTなどの炭素鋼を組み合わせて対策します。
SN材は1994年に誕生した比較的新しい鋼材として知られています。「steal(鋼)」と「new(新しい)」という言葉を組み合わせた略称で、近年ではSS材に代わる新しい建築用鋼材として多く使用されています。
主に大梁に用いられている鋼材で、降伏比や降伏耐力の上限を規定することにより、部材の耐力にばらつきの発生を防いでいます。部材の耐力にばらつきがあると補強・補修のタイミングが正確に予測できないため、早い段階で建物が崩壊してしまうリスクを高めてしまいます。
SN材はダイアフラムと呼ばれている接合部材に使われており、SN材が持つ性質が上手く利用されています。規格は「SN430」や「SN490」などがよく目にする規格です。
SM材は「steal(鋼)」と「marine(船)」を組み合わせた略称で、船の材料として使われていたことが由来しています。
溶接性に優れているという特徴を持っており、例えば梁同士を剛接合にしたいときなどに溶接として使用します。溶接の際には部材同士を一体化させる必要があるため、溶接性の悪いSS材などよりもSM材が多く利用されているのです。
高温というよりは、中低温に靭性を発揮して梁同士を接合するのを得意としています。